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    この島でいちばん高いところ24

    時間: 2019-04-28    進入日語論壇
    核心提示: 彼女の身體は、なにかが引いていくように冷たくなっていった。葛葉は必死に彼女の手を握っていた。そうすることで、彼女を引き
    (單詞翻譯:雙擊或拖選)
     彼女の身體は、なにかが引いていくように冷たくなっていった。葛葉は必死に彼女の手を握っていた。そうすることで、彼女を引き止めることができると、葛葉は信じているみたいだった。
     桃子は彼女がいつ、本當に事切れたのかわからなかった。
     ある瞬間から、喋らなくなり、眠るように目を閉じた。でも、そのときはまだ、か細い脈打ちはあった。何度も何度も、それを確かめるように、首筋に觸れている間に、いつの間にかそれすらなくなっていたのだ。
     ユンジャは靜かに、彼岸に渡ってしまった。あまりに靜かすぎて、泣いていいのかどうかすらわからなかった。泣いてしまうと、本當に彼女の死を認めてしまうような気がした。
     桃子は立ち上がって、ユンジャの鞄を拾いに行った。たしかにその中には、二、三日生き延びられるだけの保存食が入っていた。
     桃子は、ベンチに座って乾パンの袋を開けた??冥沃肖搜氦忿zむようにそれを食べ、水で流し込んだ。
     葛葉は驚いたような顔で桃子を見ていた。
    「葛葉も食べなさいよ」
    「いや、欲しくない。なんにもいらない」
     彼女は激しく首を振る。
    「ユンジャを無駄死にさせるつもりなの?」
     冷たい口調で言った。葛葉は顔をくしゃくしゃにして啜り泣いた。
     葛葉にはそれ以上かまわず、桃子は食べた。堅い食物を、音をたてて噛み砕いて、そうして飲み込んだ。
     葛葉がゆっくり立ち上がった。そうして、桃子の隣りにやってきて座る。
     桃子は乾パンの袋を彼女に差し出した。葛葉は手を伸ばして、ひとつ取った。
     葛葉は食べながらつぶやいた。
    「わたしたち、ゆうべのうち、三人で海に入って死んでしまえばよかった」
     たしかにそれもよかったかもしれない。そうすれば、こんなつらい思いもせずにすんだ。笑いながら手をつないで、まっすぐ海に入っていけばよかった。
     でも、もう遅いのだ。ギアは切り替わった。ユンジャが切り替えたのだ。桃子たちが生きるように。
     葛葉にもそれはわかっているのだろう。乾パンと干し無花果《いちじく》を少しずつ食べて、そうして水を飲んでいた。
     桃子は、鞄の中からビーチマットの代わりにした布を取りだして、ユンジャの身體の上にかけた。
    「聖を、探しに行こうか……」
     そう言うと、葛葉は靜かに頷いた。
     食物を取ったことで、ぐったりとしていた心と身體が動きはじめた気がした。
     スコップを片手に立ち上がる。もう片方の手で、葛葉と手をつないだ。
     ふたりで手を握り合ったまま、砂浜を歩いた??栅显鳏郡椁筏い郅汕绀欷皮い?、砂浜には光が溢れている。
     自然は最初の日となにひとつ変わらない。なのに、あの日のことはもう遠い夢みたいだ。
     林の中で、ユンジャのブレスレットを探した。時間はかかったけど、それは見つかった。張り出した枝にきらきらと光るそれが留められてあった。
     わざとらしく落ち葉が積み上げられた場所を、軽く踏んでみる。ほかの場所よりも、土が軟らかい。
     桃子はそこにスコップを差し込んだ。何度も土を掘り返す。汗が流れて額をつたい、目に入った。
     途中で葛葉と交代して、また続ける。五十センチくらい掘ったところで、青いギンガムチェックの布が覗いた。
     葛葉は大きな目を見開いて、桃子を見た。頷く。間違いなく聖の服だ。
     桃子も手で葛葉を手伝った。爪の間に土が入って少し痛いが、それどころではない。
     やっと聖の顔が覗く。葛葉は小さな悲鳴を上げて、スコップを取り落とした。
    「ひどい……」
     聖の顔は無慘に変貌していた。紫色に染まり、舌まで出ている。たぶん、首を絞められたのだろう。彼女の細い首には、鬱血《うっけつ》の痕《あと》があった。
     桃子は顔を背《そむ》けた。ぷん、と漂《ただよ》う不快な匂いは、死臭なのだろう。
     もしかして、掘り出さなければよかったのかもしれない。そう思ってしまってから後悔する。
     どんな姿になっても、聖は桃子たちの仲間だ。こんなところに埋められていていいわけがない。
     聖の腕をつかんで、穴から引っぱり出した。死んだ仲間に觸れるのも三人目だ。
    (いいかげんに慣れてきたわよ)
     桃子は自分に言い聞かせ、聖を持ち上げた。
     とたんに桃子は自分の目を疑った。
     聖の下に、もうひとつ死體があった。
     急に葛葉が叫んだ。
    「桃子!」
     はっと顔を上げる。向こうの方から男が走ってきていた。よろよろと、おぼつかない足取りだが、間違いなくこちらに向けて。
     血に染まった包帯で顔は見えないけど、憎悪の波動がこちらに伝わってくるようだ。桃子は聖の手を離した。
    「葛葉。逃げよう!」
     ふたりで駆け出す。少なくともこちらは怪我《けが》などしていないから、引き離すのは簡単だろう。
     走っているうちに、男は見えなくなった。
     息を切らして葛葉が尋ねた。
    「待合室に戻る?」
    「今は駄目。先回りされているかもしれない」
     葛葉の顔が泣きそうに歪《ゆが》んだ。桃子はわざと力強く言った。
    「見たでしょう。あの様子。たぶん怪我をしているわ。逃げ回っていれば捕まらないわよ」
     葛葉は少しだけ、なにか言いたげな顔をしたが、口を閉ざして頷いた。
     桃子は尋ねた。
    「見た?」
    「なにを?」
    「聖の下に、もうひとつ死體があった」
    「ええっ!」
     桃子だって、幻覚かと思った。でも間違いない。背広を著た、それほど背の高くない男の死體だった。俯せになっていたから、顔は見えなかったが、死んでいることはわかった。
     背中がどす黒く染まっていたから。
     そう、ユンジャのように。
    「どうして……?」
     葛葉の問いに、桃子は考え込んだ。なんとなく、ばらけていたパーツがひとつになるような気がした。
    「もしかして、あの男は、殺人をするためにこの島にやってきたのかもしれない。殺して、埋めて、証拠|湮滅《いんめつ》をするつもりだったんじゃないかな。無人島だから、だれにも見られないはずだった」
    「でも、わたしたちが殘ってしまっていたってこと?」
     桃子は頷いた。
    「わからないけど……もしかしたら聖はそれを目撃してしまったのかもしれない。それで、聖も殺した。ほかの仲間も殺してしまえば、外部の人間は船の事故で死んだのだ、と思ってくれる。だから、全員殺そうとした。ひとりでも生かしておくわけにはいかない。だって、船の事故で死んだんじゃないことが、ばれてしまうもの……」
     葛葉はかすかに口を開けた。迷うようにもう一度閉じる。桃子は言った。
    「運が悪かったのかな、わたしたち……」
    「わからない……」
     いいのか悪いのかなんて、もうどちらだっていい。ユンジャの言ったように、船の事故でみんな死んでしまうよりはましだったのかもしれない。でも、もうそんなことは些細な違いだとしか思えないのだ。
     桃子たちは、そのまま砂浜で座りこんでいた。
     ここなら、どこから男が現われても、すぐに走って逃げられるだろう。
    「喉が渇いた……」
     しばらくして葛葉がつぶやいた。桃子も同じことを言おうとしていた。
     真夏の砂浜は暑く乾いている。全身から水分が抜けてしまったようだ。けれども、真水の水道は待合室のそばと裏の高臺にしかない。
    「様子を見ながら、戻ってみる?」
     あの男の走り方を見る限り、かなりひどい怪我をしているようだった。それほど警戒することもないかもしれない。
     ふたりで、砂浜を歩いて、船著き場の方へ向かった。
     船著き場には人影はなかった。待合室を覗いてみる。ユンジャは先ほどと同じ姿のまま、目を閉じていた。ほかにだれかが潛《ひそ》んでいる気配もない。
     桃子は待合室に入った。葛葉もあとに続く。
     水筒に汲んであった水を、葛葉と分け合って、喉を鳴らして飲む。ただの水道水が、こんなにもおいしいなんて、今まで感じたことはなかった。乾いていた全身が潤《うるお》っていくようだった。
     がたん、となにかが倒れる音がして、桃子は振り返った。
     ロッカーが開いて、男が飛び出してきた。
     手に、包丁が握られている。それを振り上げて、男は桃子に飛びかかった。
     一瞬遅かったら、どうなったかわからなかった。思わず飛び退いた桃子の腕を、包丁は切り裂いた。
     痛みなど感じなかった。
     夢中で、そばにあった鞄を、男に投げつけた。鞄の中身が散らばって、男は少しひるんだ。
    「葛葉! 逃げるわよ!」
     桃子は葛葉の手をつかんだ。ふたりで待合室を飛び出して走る。男は追ってきた。先ほどのよろよろとした走り方ではなかった。
     まっすぐに普通に走っている。
     桃子は気づいた。
     さっきのは、わたしたちを油斷させる演技だったのかもしれない。
     だが、彼と桃子たちでは基礎體力が違う。どんどん男は見えなくなる。
     桃子と葛葉は林の中に逃げ込んで、荒い息をついていた。
     今頃になって、桃子は二の腕がじんじんと痛んでいることに気づいた。
     見れば、指先まで血でぬるぬるとしている。
     葛葉はポケットからハンカチを出して、桃子の傷の上を堅く縛ってくれた。
     桃子は額の汗を拭った。
     今のところ、體力に差があるから、そう簡単には捕まらないだろう。でも、この先はどうかわからない。
     少なくとも、追うほうと追われるほうでは精神狀態が違う。葛葉だけでなく、桃子もあっという間にまいってしまうだろう。
     桃子は深いため息をついた。ユンジャがギアを入れ替えてくれたと思った。
     だけど疲れた。さっさと捕まって殺されてしまえば楽かもしれない。
     ほかのみんなだって、逝《い》ってしまったのだ。
     桃子はどこか笑いたいような気分でつぶやいた。
    「疲れたね」
     葛葉が急にしがみついてきた。汗の匂いのする髪が肩に押しつけられる。
    「ごめん、桃子、ごめん!」
    「なんで葛葉が謝るのよ」
     葛葉は泣きじゃくりながら叫んだ。
    「だって、わたしのせいだもの。みんなが殺されたのは、全部わたしのせいだもの!」
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